横田丈実監督作品「加奈子のこと」の写真館です。スタッフを中心に撮影風景の写真を随時更新しています。写真はクリックをすれば全て拡大されます。(スマートフォンでは拡大されません)
●四十九日の食事シーンの撮影風景。右端から親族・尚子役の山路梨瀬。白のカッターシャツにネクタイ姿が主人公・孝士役の寺下貞信。カチンコを持っているのは助監督の十一十三。マイクを突き出しているのが録音の宮井昇。襖のこちら側でモニターを真剣な眼差しで見ているのが監督の横田丈実。そして左端が撮影の松浦昭浩。
ロケ地となった町は奈良県斑鳩町「並松(なんまつ)」 法隆寺・南大門前の松並木が近くにあるのが名前の由来です。(現在の正式な地名は法隆寺南1丁目。『並松』は商店街・公民館・地蔵堂などにその名前を残している)
●「並松」側から見た松並木。300m向こうの法隆寺門前まで続いている。春には桜も咲き美しい。
映画にもちらりと登場する一子おばあさんは98歳。後ろに見えてるお店が一子さんが今も元気に働かれている「八百吉商店」。なんと八百吉は創業130年! 明治時代からの老舗です。
●一子おばあさんは日陰にいたから良かったのですが…日向で待機中の役者さんはこうやってヘアメイクさんが日傘&扇子で涼しく。
(家郷一子さんは、2014年2月10日にお亡くなりになられました。いつも通り実家の八百屋さんで働き、夕食をとられた後、眠るように息を引きとられたそうです。御年100歳でした。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。)
なんだスチールカメラで撮ってるのかと思うなかれ。「デジタル一眼レフによるフルハイビジョン」撮影なのです。フルハイビジョンによる美しい映像は必見!撮影は松浦昭浩。横田監督とのコンビは「あかりの里」「月光」に続いて今回で3本目。
●本番前にどこかおかしい所はないか?と全員でモニターを見てチェックしている所。 フルハイビジョンの高画質ゆえ、良くも悪くもとにかく細かい所まで映ってしまう。
照明は今回横田組に初参加の柳川清志。実際の日光を暗幕で遮って、部屋に差し込む夕日の光を作っている所。本作では「日本家屋の陰影」をとことん追求しました。
●右写真、そっけない表情でカチンコに照明をあてている親切な柳川。カチンコを持っているのは撮影助手の長尾優。
本作では音楽はエンディングテーマのみ。映画の中から聞こえて来るのは町の音。家の音。人が生活する音。暮らしの息吹を伝える「音の世界」にもご注目(耳)下さい。録音は宮井昇。「大和川慕情」にひき続いての参加です。
ヘアメイクは上田佑を中心に10名が集まる豪華さでした。なのでヘアメイク以外の仕事を担当する事も…。
●撮影中は録音のため、クーラーも扇風機も全てオフ。音を立てぬようご高齢(すいません!)の寺下をそっと扇ぐヘアメイク。この他にも撮影・美術の手伝い、エキストラ出演と様々なパートで参加。ハリウッド映画では見られない光景です。
お坊さんの役は本物。八尾市泉福寺の山本光昭ご住職です。監督の選考基準は「お坊さんらしく見える本物のお坊さん」と言う微妙なものでした。(実はこのシーン、金プロデューサーとお孫さんも特別出演中)
●横田監督も本職のお坊さんのため、山本住職への演技指導にはお坊さん同士の専門用語が飛び交う。他のスタッフには何を言っているのかさっぱり分からず…。
ロケ場所となったのは監督がいつもお参りしている檀家さん。月参りで訪れた際に「ここしかない!」とお願いする事になりました。
●慎ましく美しい佇まいが作品のイメージにぴったりです。「ああ、ここで余生を過ごしたい」と呟くスタッフもおりました。
演技リハーサル中。役者の演技をじっと見守る横田監督。この後テーブルは丸いものに変更となりました。横田作品に何度か登場する丸いテーブルは「通じあう心」の象徴かもしれません。
●「生活って突き詰めると家の中を行ったり来たりする事なんですよね」と松浦カメラマン。しかし映画的に表現するとなると…。2人の格闘は続きました。