1966年生まれ。龍谷大学文学部仏教学科在学中より映画製作を始める。

「蝸牛庵の夜」(1992年・53分)が「ぴあフィルムフェスティバル」に入選。その後も奈良を拠点に作品を発表し続けている。

 

ふわふわと揺れる恋模様をモノクロ映像で綴った「FISHBOX 魚箱」(1999年・65分)や、実在した人物を人々の噂話だけで浮かびあがらせる「極楽寺、燃えた」(1994年・30分)など作品は多岐に渡る。

 

2006年にはタウン誌の呼びかけで製作された「あかりの里」(110分)を、2007年には「ろうあ者劇団」との共同作業による「月光」(18分)を、2009年には大和高田を舞台にした「大和川慕情」(72分)を監督。精力的な活動が続いている。「加奈子のこと」が14本目の作品となる。

 

映画製作と同時に演劇活動も展開。「劇団いかるが」の脚本・演出家として「法隆寺」「正岡子規」「西岡常一」など地元にゆかりのある題材をもとに毎年公演を行っている。

 

融通念佛宗浄念寺住職でもある。

『その夏のどん』1988/8ミリ/4:3/30min
撮影:横田丈実
出演:上條正章・内藤和也
おじいさんに命じられ、田んぼの真ん中に立つ少年。彼の仕事は、飛来する鳥を追い払うこと。風景より紡がれた幻想的な映像が、次々と繰り広げられるデビュー作。


『蝸牛庵の夜』1992/8ミリ/4:3/53min
撮影:横田丈実 音楽:ときお洋文
出演:扇谷泰伸・大原一仁・横田昌子
奈良の寺に住む主人公。訪ねて来るのは大学の先輩だけ。2人が酒を飲み交わすうちに、季節はめぐってー。何も起こらない日常に宿る、豊かな時間を描く。ぴあフィルムフェスティバル入選作品。


『極楽寺、燃えた』

1994/VTR/4:3/30min
撮影:大原一仁・扇谷泰伸・内藤和也・横田丈実 音楽:臼井洋志
奈良県斑鳩町に実在した人物を、人々の証言だけで構成したドキュメンタリー。揺れ動く人物像の先に、「記憶」「生死」「村社会」などが浮き彫りになってゆく。


『大阪鯨伝説』1996/16ミリ/4:3/25min
撮影:渡辺信一 音楽:高相岳生
出演:小谷太志・扇谷泰伸・福井憲吾・中野隆広
借金に追われたチンピラが、幻の陶器を探して森に入ってゆく。死に急ぐ男の切迫感が、16ミリフィルム・モノクロ映像に写しだされる。


『赤木カルタさんの夢』

1997/VTR/4:3/55min
プロデューサー:河野清麿  撮影:横田丈実

音楽:高相岳生 アニメーション:ヨシムラエリ 

出演:樋野珠美・井村征爾・加茂大輔・山田薫・高瀬和彦
カルタさんは劇団の座長。彼女が資金稼ぎに思いついた仕事は、乗り継ぎ駅にて歩く人々を、自転車で送迎するというものだった。アニメーション、写真、はては暗黒舞踏まで、ぎっしりと詰まったアートの数々!。


『100』1997/VTR/4:3/3min
撮影:横田丈実
出演:前畑陽平・ヤスノブ・馬場浩彰・村井千恵(声)
「1・2・3」数字を数える女性の声。画面で展開されるのは、ふとした事から起こった暴力事件。やがて数字が「100」になる時ー。日常に潜む魔の時を3分間で描くショートムービー。


『FISHBOX 魚箱』1999/VTR/4:3/65min
撮影:横田丈実 音楽:宮村群時
出演:今中黎明・早川友子・前畑陽平・村井千恵・黒川真圭・向田倫子・安藤八主博(ザ・たこさん)・中野隆広
いつもぼんやりと過ごす涼子は「なまず」と呼ばれている。ある日彼女は「さめ」と名乗る男と知り合って。ふわふわと揺れる恋模様を「鯨」「鮮」など魚編の付く漢字のエピソードで綴ってゆく。


『なみださん』2002/DV/4:3/53min
プロデューサー:中室新治 撮影:長尾優 音楽:宮村群時
出演:松本喜美子・村井千恵・内藤和也・前畑陽平・柳生小五郎
緑に囲まれた屋敷で、病に倒れた日本画家が最後の時を迎えている。孫娘の奈央と紀子は、大好きなおじいちゃんの無事を、それぞれの立場で願っていた。人を愛する事の、美しさと哀しさ、そして退屈さ。


『火のように』2003/16ミリ/4:3/90min
撮影:清水洋策 照明:岸田和也 音楽:サキタハヂメ
出演:早川友子・杉山寿弥・亀岡寿行・前畑陽平・中谷歴・坂口修一・松本じろ・内藤和也
1994年の作品「極楽寺、燃えた」を村人が見るドキュメンタリーと、奈良を舞台に繰り広げられる兄妹の物語が交錯する叙事詩。仏教的な雰囲気に包まれた、類を見ない世界が展開される。


『天使のゆげ』2006年/DV/4:3/40min
撮影:宮崎裕也 音楽:宮村群時
出演:前畑陽平・中村大介・後藤小寿枝・年清由香・川島大伸・えび・十一十三
興信所で働く高士。今日もラブホテルの前で浮気調査の張り込み中。「なんだか別の人生があったような気がするなあ」煮え切らない男の真夏の一夜は、とんでもない方向に転がって・・・。


『あかりの里』2006/DV/16:9/110min
プロデューサー:長田朱美 撮影:松浦昭浩

照明:岸田和也 音楽:宮村群時
出演:椎名桂子・浜口望海・川本美由紀・山路梨瀬・紅萬子・国木田かっぱ・林英世・野島恵美子・内藤和也
奈良のタウン誌「うぶすな」の企画による市民映画。伝統産業「灯芯引き」を軸に家族の再生を描く。美しい風景など地元の宝が詰まった内容が共感を呼んだ。

 

『あかりの里』公式サイト


『月光』2007/DV/16:9/18min
プロデューサー:赤松亮 撮影:松浦昭浩 照明:岸田和也
出演:奈良ろう者劇団大仏も笑う会
月夜に起こった不思議な出会いを、台詞・音楽・効果音など一切の音を使わずに表現。出演はろうあ者劇団のメンバー。音をなくす事によって、見えるもの、聞こえるものがあるはずー。


「大和川慕情」2009/DV/16:9/72min

プロデューサー: 金勝男 撮影:大淵博道 照明:岸田和也 協力:夢咲塾 音楽:島田篤

出演:浜口望海・山路梨瀬・門田裕・川本美由紀・寺下貞信

写真集「大和川慕情」(撮影・金勝男)から着想された物語。昭和の面影を残す街・大和高田を舞台に、むかしながらの製氷店を巡る親子3代の葛藤が綴られる。

 

映画「大和川慕情」公式サイト

音楽の島田篤さんのブログ

 


「加奈子のこと」

 2013/デジタル/16:9/33min

プロデューサー: 金勝男 撮影:松浦 昭浩

照明:柳川清志 音楽:島田篤

出演:寺下貞信・川本美由紀山路梨瀬綱本暢子・門田裕
田所孝士は77歳にして妻・加奈子を亡くす。喪失感、やがて魂を照らす慈愛の光。

死者と残された者の「つながり」を描く最新作。孝士役の寺下貞信が人生の深みを体現する。